ソミュール戦車博物館
(その16)

2014年08月04日(月)
ここからは珍しい戦車のエンジンを紹介するコーナー。航空博物館では良くある展示だが、戦車博物館で専用展示があるのは珍しい。
まずはティーガー1に搭載されていた1942年製マイバッハ HL230 P45エンジン。水冷4ストロークV型12気筒ガソリンで700馬力。
次はT34に搭載されていた1936年製、4ストロークV型12気筒水冷ディーゼルエンジンで507馬力。このエンジンはスペインのイスパノ・スイサ社が開発し、フランス空軍がライセンス生産を行っていたという複雑なもの。
これはT34のクランクシャフト。さすが戦車ともなるとクランクシャフトもこんなになるのか…
こちらは地元フランスの散々出てきたAMX13Tのギアボックス。
そしてAMX13TのSOFAM 8Gxb V型8気筒水冷ガソリンエンジンで250馬力。
こちらも地元フランスのEBRに搭載されていた、パナール12H6000 水平対向12気筒2ストローク空冷ガソリンエンジンで200馬力。
AMX30で使用されていたイスパノ・スイザ HS-110液冷対向12気筒多燃料ディーゼルエンジンで680馬力。
M4A1シャーマンに搭載されていたContinental R975 C4 4ストローク星型 9気筒空冷ガソリンエンジンで400馬力。
T62に搭載されていたV-55 12気筒水冷ディーゼルエンジンで709馬力。
M47パットンに搭載されていたコンチネンタル AVDS-1790-5B 4ストロークV型12気筒空冷ガソリンエンジンで810馬力。
1942年製、TD ETシャーマンに搭載されていた珍しいエンジンで、375馬力ゼネラルモーターズ社製の6気筒水冷ディーゼルエンジンと2気筒のエンジンを合体させたもの。なんで合体させたのか、どういう用途で使用されたのかは分からず。
地元おフランスの戦前の名戦車、ルノーB1Bisに搭載されていた1933年製、4ストローク直列6気筒液冷ガソリンエンジンで307馬力。
これも戦前のフランス戦車、ルノーR35に搭載されていた1933年製ルノー447 4気筒ガソリンエンジンで82馬力。
元になった戦車が良く分からないが、砲塔部分のカットモデル。
M24チャーフィー軽戦車のカットモデル。
ここからは第二次大戦までのメモリアルコーナー。まずはシャルル・ド・ゴール。フランス陥落後、イギリスで自由フランス軍を率いてドイツに抵抗し、戦後は大統領にもなった人物。一緒に展示されているのはルノーR39軽戦車。ルノーR35に37mmSA38戦車砲を搭載したタイプ。フランス陥落前にド・ゴールが率いた第4機甲師団に配備されていたもの。
ジャン・ド・ラトル・ド・タシニー。良く知らない人物だがフランス軍の英雄で、第二次大戦とその後のインドシナ戦争で活躍した。一緒に展示されているのはジープ。
イギリスの英雄、バーナード・モントゴメリー。北アフリカ戦線でロンメルと死闘を繰り広げ、ノルマンディー上陸後はアイゼンハワーの指揮下で連合軍を率いてベルリンを目指した。人間的にいろいろ問題のあった人物で、あちこちで問題を起こしていた。一緒に展示されているのは装軌式汎用輸送車ブレン・キャリア。
もう一方のドイツの英雄、エルヴィン・ロンメル。残念ながら双眼鏡を覗いていて顔が隠れてしまっている。ヒトラーのお気に入りとして電撃戦で華々しい功績をあげ、アフリカ戦線で先ほどの圧倒的に優位な立場にいたモントゴメリーを散々苦しめた。アフリカ撤退後は西部戦線の前線で連合軍の上陸に備えていたが、最後はヒトラー暗殺計画に加担したとして自決した。車両は1938年、ドイツ製 3t ハーフトラックSd. Kfz. 11。
車両無しでショーケースに入れられて展示されているのは、ハインツ・グデーリアン。ドイツ電撃戦の生みの親として知られ、あっという間にフランスが降伏したのもこの人の作戦のおかげとも言える。フランス人にとっては目の敵のような人だとも思うのだが、感情とは別に歴史的な功績として展示しているのだろう。
アメリカの英雄、ジョージ・パットン。こちらは可哀そうに、一緒に展示されているジープから降ろされてポツンとしていた。北アフリカ戦線において、先のモントゴメリーと共にロンメルのドイツ軍を挟撃してこれを破り、ノルマンディー上陸後は戦車軍団を率いてドイツまで破竹の進撃を続けた。しかし終戦後すぐに交通事故で死亡した。
今度はソ連の英雄、ゲオルギー・ジューコフ。スターリンの大粛清を生き残り、第二次大戦開戦前は満州との国境付近で関東軍に手痛い打撃を与えたことでも有名。実はこの時の機械化部隊を集中運用した戦いは、後の電撃戦よりも早い。独ソ戦が開戦すると、レニングラード包囲戦でドイツ軍の侵攻を食い止め、モスクワでも兵站を繋げてドイツ軍を撃退し、その後の独ソ戦の転換点となるスターリングラード戦でドイツ軍を包囲殲滅した。一緒に展示している車両は解説板がなくて不明。
1930年、フランス・シトロエン社製UNIC P107 BU ハーフトラック。この車両も、フランス陥落後はドイツ軍で広く使われた。
1934年、フランス製 LAFFLY S15Rトラック。主に砲兵用に火砲牽引車両として使用された。
1936年、フランス製 LORRAINE TYPE72トラック。
1938年、フランス・オチキス社製 25mm 対空砲 Mle38。
レーモン・オブラックとリュシー・オブラック夫妻。共に第二次大戦中の対独レジスタンスの象徴と言われた人物。一緒に展示されている車はシムカ5。
良く分からないが、オブラック夫妻の近くに展示されているので、当時のレジスタンスの様子かな?
これも良く分からない装甲車。同じくオブラック夫妻の近くに展示されていたので、レジスタンス関係のものか?
車体はEBR装甲車だが、棺を搬送するように改造されている。で、これはドゴールの国葬の時に使われたもの。
フランスのHenri de Vernejoul と Jean Touzet du Vigier。共にフランス解放に活躍した将軍らしい。一緒に展示されている車両はアメリカのM3装甲車、スカウトカー。
ルクレール戦車の名前の由来でもあるフランスのフィリップ・ルクレール。自由フランス軍第2機甲師団を率いてノルマンディー上陸作戦に参加、その後パリ入城を果たした。日本の終戦時にはフランス代表として、戦艦ミズーリ号上で降伏文書に署名した。その後、当時フランス植民地だったベトナムへ行き、ホーチミン率いる独立派を弾圧した。この人も戦後間もない1946年に飛行機事故で死亡している。一緒に展示されている車両は1943年、アメリカGMC社製 GMC CCKW 2.5tトラックを流用した戦闘指揮車両。
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