ル・ブルジェ航空宇宙博物館
(その6)

2014年08月06日(水)
ここからは第二次大戦期のコーナー。と言ってもフランスは最初の頃にあっさりドイツに負けてしまったので、他の国に比べると極端に展示が少ない。まずはイギリスのスーパーマリン・スピットファイア Mk.16。両翼それぞれにイスパノ 20 mm 機関砲とブローニング M2 12.7 mm 機関銃を搭載したEウィングタイプ。Mk.16はマーリン66エンジンをアメリカのパッカード社がライセンス生産したパッカード・マーリン266エンジンを搭載したタイプ。性能的にはMk.12と同等で、この機体は自由フランス空軍第340飛行隊「イル・ド・フランス」の塗装がされている。
フランスのドボワチン社製 D-520戦闘機。開戦時のフランスの最新鋭戦闘機で、操縦性に優れていたが生産の遅れから部隊配備が遅れたため殆ど活躍することができなかった。フランス敗戦後も生産が続けられ、ヴィシー政府軍で戦闘機として、ドイツやイタリアでは練習機として使用された。またフランス解放後には連合国軍の戦闘機として参加、1953年までフランス空軍で使用された。
アメリカ、ノースアメリカン社製戦闘機 P-51D マスタング。D型はマスタングの派生形では一番生産数が多く、水滴型キャノピーの搭載や火力の強化が行われた。
アメリカ、リパブリック社製 P-47D サンダーボルト戦闘機。戦闘機だが戦闘爆撃機として重宝された機体で、自由フランス軍でも使用された。サブタイプのD型は最も生産機数が多いが、細かな改修が多くさらにサブタイプが分かれる。
He111…かと思いきや、スペインのCASA社がライセンス生産した 2-111。初飛行はドイツ降伏後なので、正確にはここに展示するのはどうかと思うのだが…2-111はドイツの敗戦によりユモ211エンジンの供給が不可能となり、ロールス・ロイスの民間用エンジンマーリン 500-20を搭載した。実戦にも参加しており、1957年にモロッコとのイフニ戦争に投入された。1973年に全機退役したが、塗装をドイツ軍仕様に変更した上で戦争映画に出演したりしている。
ドイツ、ビュッカー航空機製造社製の Bu181 ベストマン練習機。戦時中はアムステルダムのフォッカー社でも製造された。木製モノコック構造で、横に二列で並ぶコクピットを持つ。戦後もチェコスロバキアやエジプトでも生産が行われた。
この手の博物館では常連のV1飛行爆弾。正確にはフィーゼラー社製 Fi103。
ドイツ、フォッケウルフ社製Fw190-A8戦闘機。サブタイプのA-8は、A-7から出力増強装置の搭載、武装と装甲の強化等の改良を行い、代わりに速度が低下したタイプ。展示機は101機を撃墜したドイツ軍のエースパイロット、ヨーゼフ・プリラーの乗機らしい。
これも有名どころ、アメリカのダグラス社製C-47スカイトレイン/ダコタ。旅客機・DC-3の軍用バージョンで戦前のベストセラー機。これは機首だけのカットモデル。
そしてこのホールのメインはきれいに整備されたこのC-47。バズバギーの愛称を持つ機体番号N2100558で、ノルマンディー上陸作戦に参加した機体。戦後は民間に払い下げられてF-BEFBで再登録され、1950年からエーグルアズールエクストリームオリエントで運用された後、1970年にこの博物館に寄贈された。
この機体も別料金で内部の見学ができる。
ノルマンディー上陸作戦に参加したので、パラシュートで降下する兵士の様子が再現されている。
内部は非常にきれいに復元されていて、終始ノルマンディーの様子がテレビで流されていた。
(その5)(その7)
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