ル・ブルジェ航空宇宙博物館
(その10)

2014年08月06日(水)
吹き抜けの明るく天井が高い戦間期のコーナー。まずは1936年、フランスコードロン社製 C635 シムーン。郵便機として当時の長距離飛行記録を樹立し、戦中はフランス軍で連絡機として使用された。
そのシムーンに搭載されていたルノー製6Q-10Aエンジン。空冷220馬力、9500cc。
1918年、フランスのファルマン社製 F.60ゴリアト旅客機。元々第一次世界大戦中に重爆撃機として開発された機体だが、戦争終了により旅客機に改造された。12〜14人の旅客を乗せ、パリ〜ブリュッセルやパリ〜ロンドン便に投入された。この機体は胴体しかないが、元は双発複葉機だった。
そのゴリアトに搭載されていたサルムソンZ9エンジン。液冷星型250馬力、18700cc。
1928年、フランスのブレゲー社製ブレゲー 19TF Super bidon 爆撃機、偵察機。ブレゲー14軽爆撃機の後継として開発された一葉半の飛行機。ジュラルミンを多用して軽量化を図り、当時は戦闘機よりも早い爆撃機として注目を集めた。この機体は1930年にデュドネ・コストとモーリス・ベロントが搭乗するポワン・タンテロガシオン号で、パリ〜ニューヨーク大西洋逆横断に初めて成功した。
1919年、ドイツのユンカース社製旅客機 F13。第一次世界大戦末期に開発された世界初の全金属性の旅客機。さらに片持ち式単葉機という先進的な機体だった。
1937年、ドボワチン社製 D530戦闘機。ドボワチンのD27とD53シリーズの最終バージョン。戦前、戦後を通じて曲芸飛行用の機体としても活躍した。
1929年、フランスのモラーヌ・ソルニエ社製 MS230。当時のフランスを代表する練習機で、戦後も民間で使用された。
1934年、フランス人技師・アンリ・ミニエが設計したプー・ド・シェル(空のしらみ)と呼ばれるハンドメイド飛行機 HM14。個人が気軽に製作、飛行ができる機体として販売されたが、欠陥で良く墜落したらしい。
1931年、フランスのコードロン社製C277 ルシオール練習機。C277は複座のC270を単座に変更し、グライダーを曳航するための装置を備えたタイプ。
1934年、イギリスのデ・ハビランド社製 DH.89A ドラゴン・ラピード輸送機。戦前・戦後は近距離旅客機として、戦中は輸送機として活躍した。サブタイプのAはウイングチップと機内暖房を改良したタイプ。
1925年、アメリカのライト社製 Wright J-5A-B Whirlwind エンジン。空冷星型9気筒エンジンで200馬力、13000cc。あのリンドバーグの大西洋横断飛行に使われたスピリット・オブ・セントルイス号に搭載されていたエンジンだ。
1924年、フランスのロレーヌ社製、ロレーヌ 12Ebエンジン。水冷12気筒で450馬力、24420cc。戦間期のフランスを代表するエンジンだが、肝心ロレーヌ社は1930年代に倒産してしまった。
1941年、フランスのスネクマ社製Z3エンジン。このエンジンは経緯が複雑で、元はアメリカのP&W社のR-1690 ホーネットエンジンのライセンスを買い取ったドイツのBMW社が、その発展型として生産したBMW132エンジンを、ドイツ占領下のフランスでスネクマ社がさらにライセンス生産したもの。Ju-52等にも搭載されたエンジンで戦後も生産が続けられた。空冷9気筒星型エンジンで520馬力、27700cc。
1933年、ドイツのダイムラー・ベンツ社製 DB602。液冷の正立V型16気筒エンジンで1320馬力、88500cc。当時の飛行船 LZ 129 ヒンデンブルクと LZ 130 グラーフ・ツェッペリン2 に搭載されていた。
1929年、フランスのイスパノ・スイザ社製、イスパノ・スイザ18Sb。液冷18気筒1125馬力、54000cc。元々は同じイスパノ・スイザの18Rエンジンの発展型で、1929年のシュナイダーカップに出場したバーナード HV-120に搭載されていたエンジン。
1938年、イスパノ・スイザ社製、イスパノ・スイザ12Y45。V型液冷12気筒エンジンで880馬力、36000cc。モラーヌ・ソルニエ MS406やドボワチン D.520 等に搭載された。サブタイプの45は S-39-H3 過給機を取り付け出力増強したタイプ。
1931年、フランスのルノー社製液冷V型12気筒エンジン、2000馬力で30700cc。これも1931年のシュナイダートロフィーに出場していた機体に搭載されたエンジン。
1932年、フランスのサルムソン社製サルムソン 9 ADr。空冷9気筒エンジンで60馬力、2979cc。が、サブタイプのrは英サルムソン社のライセンス生産を意味する。
1934年、フランス Clerget 社製Clerget14F2。空冷星型14気筒エンジンで450馬力、34500cc。
1935年、フランスのTrain 4A 01。倒立空冷4気筒エンジンで40馬力、2000cc。戦前の様々な記録を持つエンジンで、1936年にフランスの速度記録151.16Km/h、1937年に4935mの世界最高度記録、そして同年に1288500Kmの世界飛行距離記録?を樹立した。
1935年、フランスのVarcinエンジン。水平空冷4気筒エンジンで70馬力、3800cc。「ラック・アンド・ピニオンエンジン」として知られているらしいが、良く知らないエンジンだ…。1937年にフランスの航空ショーで出展されたもので、その後の動向は不明。
風洞実験装置の実物。
(その9)(その11)
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