板門店
(その1)

2006年8月14日(月)
板門店へは個人でふらりと立ち寄ることができないので、必ずどこかのツアーに参加しなければ近寄ることもできない場所だ。私はツアー旅行が大嫌いなのだが、こればかりはしょうがない。ネットからコネストという旅行会社を通じて下記のツアーに申し込むことにした。

大韓旅行社
(月-金)ピックアップあり
時間9:00(ホテルによって異なる)〜14:40
集合2名様以上宿泊ホテルにてピックアップ
解散ロッテホテル明洞
大人2名以上8300円

スケジュール
ご宿泊先ホテル(2名様以上)→ロッテホテル明洞新館→統一大橋(パスポート提示)→キャンプポニパス→板門店見学(自由の家、本会議場、第三警戒所、帰らざる橋など)→統一大橋(検問)→統一展望台横の飲食店にて昼食→ロッテホテル明洞

宿泊したパークハイアットソウル
さて、出発は09:00だがホテルへ直接ピックアップをお願いしたところ07:30に迎えにくるとのこと。まぁ集合が08:30てことは08:00にはホテルを出ないといけないので時間的にはそれほど変わらない。なんといっても今日はホテルが変わるので、重たいスーツケースを持って集合場所まで行くのは苦なのでピックアップをお願いした。
07:00過ぎにチェックアウトをしてエントランスで待つことに。昨晩泊まったパークハイアットソウルは最上階にフロントがあるので、1階エントランスはスタイリッシュだが非常に簡素だ。公園にありそうな石造りの椅子があるだけで、ここで待つには落ち着かない。
ここの車止めは建物の1階の中に入り込む形になっている。当然天井は1階分しかないので大型バスは入ってこれない。きっとミニバンみたいなので迎えに来て、集合場所でバスに乗り換えるのだろうと思っていたらどうやらその大型バスでそのまま迎えにきたようだ。添乗員がエントランスまで歩いて迎えにきた。
ホテルの裏口にバスが止まっているのでそこまでガラガラとスーツケースを引きずっていく。
どうやら我々が1番最初の客らしい。集合場所まではバスのどこに座ってもよいが、今日は満席のうえにバスが2台出るらしい。集合場所からは指定された席に座って欲しいと言われた。指定された席は1番前。どうやら申し込み順のようだ。出発2ヶ月以上も前から申し込むバカはそうそういないのだろう^^;
途中、別のホテルに1箇所立ち寄ったがなかなか同乗者がやってこずに20分程待たされる。しかも人を待たせたという反省の色もなく大声でがやがやと入ってくる。こういうのがあるからツアーは嫌なのだ。
その後集合場所のロッテホテルへ。2階部分にある観光バス専用の駐車場で一度バスを降ろされる。どうもここはツアーバスの拠点らしい。
ホテルに入ると重厚な待合室が用意されており、そこにツアーデスクやソファなどが置かれている。周囲を見渡すと、どうやら日本人ばかりのようだ。
ほどなく時間となりバスへ乗り込む。乗客は全員日本人ばかり、2台合計で約90名だそうだ。改めてガイドのIムさんから挨拶と自己紹介、そしてツアーの注意点が伝えられる。

集合場所のロッテホテル

有刺鉄線や監視所がある川
板門店まではバスで約1時間程。その間、Iムさんは分断までの経緯と朝鮮戦争の概要を説明してくれる。が、やはり少し偏った韓国人寄りの説明が中心だ。ウソを言っているわけではないが違和感がある。
途中道路上には、コンクリートでできた橋のような物体がある。これは有事の際に爆破して道路を封鎖するためのものだそうで、中には爆薬が詰まっているらしい。
ふと外を見るとバスはは川沿いの道路を走っている。その川辺には有刺鉄線が設置され、ところどころに監視所も立てられている。こういうのを見ると、いやが応にも気分は盛り上がってくる。
そのうちあたりに住宅もなくなり寂しくなってきたなと思った頃に、統一大橋に到着した。ここでまず第一回目のパスポートチェックがある。到着少し前からここでの撮影は絶対に禁止、とIムさんから再三にわたって注意があった。
到着すると韓国軍の兵士が2名乗り込んでくる。Iムさんから乗客名簿を渡されるとそれを一通り眺めていた。毎日毎日何年もここを通ってるのだろうから既に顔なじみなのだろう、兵士はIムさんと談笑しながら乗客名簿をぱらぱらとめくっている。あまり軍事境界線という緊張感がない。
一通り全員のパスポートをチェックすると兵士は降りていった。すぐに橋の前のバリケードがどけられてバスは橋の中に進入する。橋の上にもバリケードが幾重にも配置されており、バスは低速でそれをくねくねとかわしながら進んでいく。
しばらくしてからキャンプポニパスの駐車場に到着。ここで国連軍が用意するバスに乗り換える。運転は韓国軍の兵士が行い、米兵がここから同乗する。キャンプ内の道を行くとブリーフィングルームへ到着、ここで全員中に入る。
板門店内で移動するバス

朝鮮戦争に参加した国の国旗
ここでは板門店内での注意事項と簡単な歴史が紹介される。写真撮影は許可があるまで絶対禁止、そして北朝鮮側に向かって手を振ったりしてはいけないと特に念を押して注意された。手を振ることがなにかの暗号じゃないかと文句を言われるそうだ。
説明された板門店の地図を見ると、驚いたことに韓国領内に北朝鮮の建物(監視所?)が点在している。ここに勤務する北朝鮮の兵士はどうやって移動しているのだろうか?
そしてここでゲスト用の通行証が配られ、例の「私は死んでもなにも文句は言いません」の誓約書にサインさせられる。ところがこのサイン、驚いたことに鉛筆で書かされる。これだと同意しない人の名前も勝手に書き換えられて殺しちゃうこともできると思うんだが…まぁ実際はそれだけ緊迫していないことの表れなのだろう。
国連軍の記念碑

自由の家
一通りの説明が終わった後バスに再び乗り込み、いよいよメイン会場へ向かう。バスの中でもしつこいくらいIムさんから注意事項の説明がある。まずは自由の家に到着。とても近代的な建築物だが、生気がまったくない。この中でもウロウロすることは許されず、1台のバスの中の前に座ってる人と後ろに座ってる人で2グループに別けられる。ここは通り過ぎるだけで見学はおろかトイレすらも使わせてもらえない。
自由の家を出ると目の前にテレビ等で見慣れた光景が広がる。まずは展望台から周囲の見学なのだが、その前に強制的に記念撮影をさせられる。これだからツアーは…と思いつつ、ここで勝手に見学に飛び出したら撃たれても本気でシャレにならんのでがまんして並ぶ。
展望台から見る休戦会議場

何故か展望台は中華風
やっとのことで展望台に到着。自由の家の直ぐ隣にある2階建ての何故か中華風の狭い建物だ。ここに20人程が上る。有名な休戦会議場の正面に自由の家があるので、ここは随分端からの見学になる。
もうほんの数メートル先は北朝鮮なんだと思うと少し緊張。正面には北朝鮮側の建物と会議場が立ち並び、所々に韓国軍の兵士と北朝鮮軍の兵士が立っている。
休戦会議場

北朝鮮側の監視所
その北朝鮮側では監視所が設けられており、そこに出入りする北朝鮮の兵士も肉眼でみることができる。監視所の中からは双眼鏡でこちらを見ている人がいるらしい。
逆に韓国側にも監視所は設けられている。板門店内に立てられている建物で、青色に塗られているのが国連軍の建物だそうだ。その監視所も青に塗られている。
韓国側の監視所

北朝鮮側の建物
北朝鮮側の建物からも見学者が見える。最近では主に中国からの観光客が多いそうだ。こちらよりは比較的自由に見学できている印象。以外と北朝鮮側からの観光客が多いのにもびっくりした。
会議場の中間に建物を繋ぐように側溝がもうけられている。実はこれが国境を表す休戦ラインらしい。これを越えて反対側へ行くことは絶対にできない。見た目にはただの溝でフェンスもなにもなく、行こうと思えばいつでも行けそうなのに、言葉で説明を聞いただけではそれを実感することができない。
頻繁に観光客が出入りしている

宣伝村の鉄塔
ぐるりと周囲を見渡してみると、遠くに北朝鮮の国旗が掲げられた高い塔が見える。北朝鮮の宣伝村だ。北朝鮮の暮らしはこんなに良いですよ、という宣伝の為だけに作られた村らしいが、実際には人が住んでいないらしい。
予算がなかったのだろうか、家の窓にはガラスがはめ込まれていないそうだ。ガイドのIムさんも「夏は涼しそうですけど、冬は寒いでしょうねぇ」などと皮肉を言っていた。それでも人が住んでるように見せかけるために、たまに煙突から煙を出したりしているそうだ。
あまり見るところが無いとはいえ、見学できるのはだいたい5〜10分くらい。あっという間だった。

韓国側の様子
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